海外旅行のスーツケースに鍵を掛ける意味
海外旅行でスーツケースに鍵を掛けるのはセキュリティ上必要です。空港でスーツケースを預けたあとに中身を盗まれる可能性があるから。
しかしスーツケースに鍵をかけないほうがよいアメリカのような国もあるし、もっとひどい場合も考えられるため、スーツケースに鍵をかける意味を改めて整理してみました。
アメリカはスーツケースに鍵をかけてはいけない国になった
鍵が掛かっていたら壊してでも開けて中身を検査できる
911のテロ以降、アメリカは受託手荷物として預けるスーツケースに鍵を掛けないようにと呼びかけました。中身を開けてチェックすることができるように、です。もし鍵がかかっている場合は壊して開けて中身が危険物でないかチェックすることも可能です。
アメリカ空港職員が持つ共通鍵TSAロック誕生
とは言え自分の手を離れたスーツケースに鍵は掛けておきたいですよね。そこで誕生したのが、アメリカの空港職員が共通で持っている鍵で開けられる共通の鍵「TSAロック」です。この鍵は普通の鍵とは違い、自分が持っている鍵に加えてアメリカ空港職員も持っている共通仕様で出来ているので、鍵を掛けていても開けようと思えば開けられて検査されます。
しかし鍵やスーツケース自体を破壊して開けられることはなくなるため、個人のセキュリティと空港の安全性の両立として作られ、現在のスーツケースのほとんどがTSAロック付きになっているはずで、現在の標準仕様となっています。
TSAロックはアメリカ以外では開けられない
TSAロックはアメリカの空港だけで使われている鍵ですから、他の国の空港では開けることはできません。そのため、もしアメリカ以外の空港で不審なものがあると判断されたスーツケースは、鍵を壊されて中身を検査されることは十分考えられます。
アメリカだけでなく世界中でテロの危険性があるため、各空港ではX線検査のあと危険物が入っているスーツケースと判断されれば鍵をかけていても開けられてしまう、その際は壊されて補償はないと理解しておく必要があります。ならもうTSAロックの意味ないじゃん、と思いますが、実際にそうです。
そのため私はアメリカでもヨーロッパでも東南アジアでもどこでもスーツケースに鍵を掛けていません。そしてスーツケースの中身は万が一盗まれても問題ないものだけを入れるようにしています。
スーツケースの鍵は壊されて窃盗に遭うこともある
セキュリティのために鍵を壊されるのはまだ理解の範疇だと思いますが、実は窃盗団が空港の施設にいて、鍵を壊して窃盗を繰り返している事実もあります。
日本の常識で考えるとそんなこと珍しいと思われがちですが、海外では空港職員に窃盗をする人、副業窃盗をする人が実際に存在します。
アリタリア航空の職員による集団窃盗事件
イタリアのアリタリア航空の職員が2013年、集団でスーツケースの窃盗をしていて86人が逮捕された事件が世界で話題になりました。イタリアだけでなくタイ、フィリピン、キューバなど世界中で空港職員やそれを介して中に入る犯罪者集団が海外には存在します。
特に日本行きの飛行機に乗せる日本人のものと見えるスーツケースは開けられる傾向にあるとも言われています。逆に少し薄汚れたスーツケースのほうが被害は抑えられるかもしれないですね。
空港でラップでスーツケースをぐるぐる巻に
このような集団窃盗事件が多発していることから、預けるスーツケース開けられにくくする対策のひとつとして、空港でサランラップで何十にもぐるぐる巻にしてくれるサービスを見たことがあると思います。あれは窃盗対策のための有料サービスです。
日本人は窃盗対策ではなくスーツケースに傷がつかないようにという目的で利用する方も少なくないようです。
とは言えこのラップサービスも危険物が中に入っていると判断されれば切られて開けられてしまうので無意味なのですが、窃盗団からすればラップを切って鍵を壊して、という二段階の手間をかけたくないので盗難リスクを下げるという意味ではラップサービスを受ける価値はあると言えます。
余程盗まれたら困るものを入れている場合は、1,000円前後でラッピングしてくれるので受けることをお薦めします。
結論、スーツケースには貴重品をいれないこと
スーツケースに鍵を掛けることは一定の防犯対策にはなるものの、空港セキュリティでは危険物と疑われたら鍵を壊してスーツケースを開けますし、窃盗団も鍵を壊します。
このことから考えると、スーツケースに鍵を掛ける事自体も自己責任になってきます。鍵が破壊されると基本的にスーツケースは使い物にならなくなりますからね。
そして一番大切なのは、盗まれることを前提にスーツケースを預け、貴重品をスーツケースに入れないことです。手荷物が少しかさばる程度で窃盗リスクがゼロになるならそのほうが良いですよね。というわけで、スーツケースは鍵をかけてもいいけど貴重品は手荷物で持ち込むのがベストです。